失格、不合格2012/11/19 22:25

社労士試験のことについて、もう少し書こうと思う。

試験は、8月の第4日曜日に行われた。今年は、26日。

試験には、「択一試験」というのと、「選択試験」というのがあって、「択一」が3時間超の長丁場、選択式が80分。

「選択」は、文章が書いてあって、その中の5箇所に空白があり、その空白に入る適切な語句を20個の語群の中から選ぶというもの。
「択一」は、一問に対して、5つの文章があり、この5つの中に、ひとつだけ正しい記述(または間違った記述)が混じっていて、それはA、B、C、D、Eのうち、どれでしょう?というのを選ぶというもの。

一昨年までは、午前中に「選択」、午後から「択一」だったけれど、去年と今年は震災や電力事情の観点から、午前中に「択一」、午後から「選択」という時間割だった。

さて。そんな、午前中の試験でのこと。

会場は、普段ならコンサートや講演でも行うような大広間に、500人ばかりの受験生がずらりと受験番号順に座っている。

試験の時のルールとして、電子機器の持ち込みは禁止されている。携帯電話はもちろん、タブレットやPDA、電子手帳とか?そういった、いかにもカンニングに使えそうなものだけじゃなく、とにかく電子機器禁止。時計のアラームもだめ。電子音もだめ。

それなのに、私の席の近くで、「チ、チッ」と電子音が聞こえた。

自分の腕時計を見ると、11時ちょうど。
スポーツタイプのデジタル時計なんかでよくある機能だと思うんだけど、正時になったらアラーム音が鳴るっていうヤツだなと思った。

30分後、もう一度、「チ、チッ」と鳴った。
さらにそのあと、そのアラーム音を消そうと操作していると思われる電子音が、「チ、チ、チ、チ、チ…」と断続的に聞こえた。

さらに正午、30分前に努力(?)したにもかかわらず、もう一度「チ、チッ」と…

その後、時計はなんとか沈黙し、試験は終了となった。

こんなふうに、禁止されている音を立てたら失格になるという話だったけれど、電子音めがけて監督がすっ飛んでくるということもなく、何事もなかったように午前の試験は終わり、解答用紙が回収された。

昼休み、みんな参考書や弁当を広げてそれぞれに過ごしていた。

係員がやってきた。

係員は、私の近くの席の、ある受験生に、何事か話しかけた。

その受験生は荷物を持って、立ち去った。

そして、午後、戻ってこなかった。

多分、あれは失格になったことを告げたんだろうと思った。

ああ、本当に、こういうので失格になる人って、いるんだあ…と、ぼんやり考えていた。

いや、ぼんやりじゃなく、ただ呆気にとられていたのかもしれない。
人ごとながら、ちょっとショックだった。彼は、その時計のせいで、1年を棒に振ってしまったのだから。

午後の試験は、私がまさに前年、1点で泣いた「選択」試験だったから、彼に思いを巡らすのはやめた(というか、そんな余裕はなかった)。


今、もし、時計の操作がよくわからないのだったら、試験前にそこらで安物のアナログ時計でも買っていたら…とか、彼は今頃何をしているんだろう…などと思ってみても、詮無いことだ。

未だ、この出来事に対して、何かまとめとかオチのような言葉は、思い浮かばない。

私は、去年、不合格になった時、とにかく落ち込んでいた。
それまでの1年、かなり気合を入れていただけに、現実は受け入れ難く、とても前に向かって進むことができなかった。

今年度の受験対策講座が始まった今年1月に、昨年度も世話になった講師に成績を報告し、「ああ、悔しい。」「でも、ともさん、実力はついていますよ。前回は残念でしたけど、今回、また、頑張りましょう。」とかなんとか、そんな会話を交わすまで、吹っ切れなかった。(その会話で、吹っ切れたといってもいいかもしれない。)

彼も、そうやって、ちょっとしたきっかけでモヤモヤした状態から脱するのかな。

本当、あれこれ考えても詮無いことなんだけどね。